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ひろせ動物病院コラム

【獣医師解説】猫の去勢について必ず知っておくべき9つのポイント!

オス猫を飼っていると、必ずといっていいほど聞かれるのが
「去勢手術はお済みですか」です。

去勢手術とは、オス猫に対して外科的に精巣を摘出してしまうことをいいます。
男性の方は、「ちょっと待ってー!」と思われる方も多いでしょうね。
また、中には
「愛猫の体にメスを入れるのが嫌だ」
「猫の生殖能力を人間の手で勝手に奪うのは、モラルに反するのではないか」
「猫は猫らしく自然に生かしてあげたい」
など、
このように考える人もいるかもしれません。

でも、獣医さんは去勢手術をすすめます。

「絶対に必要なことなのでしょうか?」
と疑問に思われたり、不安に感じられたりする方のために、猫の去勢手術について、分りやすくお話しますね。

1.去勢にはメリットがある!

ストレス軽減になる

猫は通常、生後6~10ヶ月で性成熟を迎えます。(=繁殖能力が備わります。)
つまり、「いつでも交尾することが可能」ということですね。
メス猫と違って、オス猫には決まった発情期はないんです。
オス猫は、発情期のメス猫と出会えば、それに刺激されて初めて発情します。
発情したメス猫がいなければ、発情しないことになりますね。(ちなみに、メスの発情期は年に2~3回あるとされています。)
オス猫が発情すると、大きな声で鳴く、尿をあちこちにかけるスプレー行動をするようになります。
でも、残念なことに家の中で飼育している場合、メス猫に出会うチャンスはありません。
この状況下は、オス猫にとって、超ストレスです
性的な欲求を満たせないことによるストレスは、空腹時やのどが渇いているときに感じるストレスと同じくらい大きいとされています。
去勢手術をすれば、このような欲求のストレスは解消することができます。
これで、発情のたびに、抱える超ストレスを軽減させることができますね。
また、前述のスプレー行動やメス猫を探しに行く徘徊行動、外出によるケンカや交通事故などの問題を減少させることも期待できます。

病気の予防が期待できる

屋外でのケンカが少なくなるため、猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)や猫白血病ウイルス感染症などの危険ウイルスの感染リスクを低下させることができます。
自然環境で生活している猫たちは、この危険ウイルスを高確率で保有していますので、屋外は本当に怖いですよ。
また、完全室内飼いの猫ちゃんでも無関係ではない前立腺の病気の発生率を低下させることができます。
これは、人間の男性にも、高齢になってくると多くみられる病気ですね。
精巣腫瘍の予防にもなるとされています。
これも高齢化に伴って、多くみとめられるようになってきています。

2.もちろん、デメリットもある…

繁殖ができなくなります

生殖器(睾丸)を取ってしまうので、当然のことですが繁殖はできなくなります。
「この子の血を引いた子供が欲しい」という飼い主さんは、

・去勢手術をするのかしないのか?
・去勢するとしたらいつ頃するのか? 

などをよく家族で検討し、計画的に進める方がいいでしょう。
手術後、「やっぱりこの子が・・・・」は絶対無理ですよ。

太りやすくなります

去勢手術により、ホルモンバランスが変化するため、食欲が増進します。
逆に、代謝は低下します。活発だった性格が変わって穏やかになります。
発情時の運動量なども減ります。
つまり、去勢する前に比べて、エネルギ-消費が減ってしまいますので肥満になりやすくなってしまいます。
だから、今までと同じ食餌の量だと、去勢手術後は確実に太ってきますので調整が必要になってきます。
去勢後は、食餌の与えすぎには注意し、肥満にならないようにしましょうね。
ちなみに去勢後に適した食事は一般のものもありますが、ロイヤルカナンさんなどは病院用に販売されてたりします。興味のある方は獣医さんに聞いてみてください。

3.去勢後の性格の変化

攻撃性が緩和され、怒りっぽさや、他の猫とのけんかなどの問題行動が少なくなることがよく言われています。
ただ、個体差が大きい上に、去勢手術の時期が遅い場合などでは、攻撃的な性格に変化が見られない場合も珍しくありません。

以前より、甘えん坊になる場合もあります。

4.去勢の時期は?いつすればいいの?

オスの場合、生後6~10か月くらいになると性成熟し始め、発情に関する行動がみられるようになってきます。
そのため、生後6か月前後で行うのが理想です。
もちろん、成長には個体差がありますので、動物病院に相談しましょう。
高齢であったり、病気を持っていたりすると全身麻酔のリスクが高くなりますので、
手術をしない方がよい場合もあります。

5.猫の去勢までの流れ

①診察

まず動物病院で診察を受け、去勢手術の予約をします。
いつ、どんな手術をするか、麻酔リスク、メリット・デメリットなど気になることや分からないことについて、聞いてみましょう。
そして納得したうえで、手術の実施について、改めて家族でよく相談し判断しましょう。

②術前検査

手術の日程が決まれば、手術前の検査を受けます。

【術前検査はした方が良い?】
どんな手術を行う場合でも、術前検査として最低限の血液検査を行うのが一般的です。
血液検査では、貧血の有無や肝臓・腎臓機能の状態などを確認します。
手術は全身麻酔をかけて行うため、亡くなってしまう可能性がゼロではありません。
もし万が一、何らかの異常があった場合、麻酔や手術のリスクが高くなります。
そのリスクをできるだ減らすために術前検査は必須になってきます。
少しでも、安心して手術を受けるようにしましょうね。
③手術前日の注意

飼い主さんも当然、緊張しますが、しすぎるとそれが愛猫にも伝わって、警戒してしまいます。
なるべく、普段通りに接してあげてくださいね。
動物病院から絶食などの指示があれば、守るようにしてください。
昼の12時に手術を実施する場合、手術前日は夕方に食餌を与えたらそれ以降は絶食です。
手術当日の朝からは絶水です。
何より、飼い主さんが余裕をもって、この手術に挑むことが大事ですよ。

④手術当日~術後

猫の去勢手術の場合、日帰り手術の場合が多いですが、動物病院や猫の状態によっては、1日程度術後入院することもあります。
退院後は、7日から10日ほどで抜糸や経過観察を行い、何もなければ終了となります。
手術方法によっては、抜糸を必要としないケースもあります。

6.そもそも去勢手術とはどんな手術?

外科的に精巣を摘出する手術です。
この手術は、開腹もしなくていいので、シンプルで短時間で終わります。
手術そのものは10分程度ですが、麻酔時間(寝てから覚めるまで)を含めると1時間程度で終了します。
まれに、精巣がお腹の中にある停留精巣(または潜在精巣)の場合があります。
その際は、手術方法が変わりますので、今回の話とは別の話になります。

【麻酔のリスク】
去勢手術は全身麻酔をかけて行います。
麻酔の薬や技術の進歩はあるものの、猫の体には、やはり負担になりますので、体調の悪いときは、実施時期を見合わせた方がいいでしょう。
手術をする際は、まず、体調を整えるところから始めましょう。

7.猫の去勢した後の対応・ケアはどうしたらいい?

なるべく落ち着いて過ごせるようにしてあげる

激しい運動や入浴はNG。
元気そうに見えても、手術によるダメージがあるので、飼い主さんはよく観察してくださいね。
家に帰ってから元気がなかったり、落ち着きがなかったりするケースも多いです。
「知らない人に何かされた」、「長い時間、家族と離れ」という精神的ストレスでデリケートになっていますからね。

よって、ご自宅では、なるべく落ち着いて過ごすことができるように気を使ってあげましょう。
過ごしやすい室内温度、同居猫を近づけない、テレビや音楽などの音量に気を配って猫に負担にならないようにするとよいでしょう。
去勢手術を受けた猫は性格が変わったり、太りやすくなったりしますので、今までとは、違う接し方をする必要があるかもしれませんが、たっぷりと愛情を注いであげしましょうね。

病院の指示はしっかり守る

傷口が膿んだりしないように、抗生剤や消炎剤などを処方されることもあります。
動物病院から薬が処方された場合は、必ず指示通り与え、様子がおかしいときは、すぐに病院に連れて行くようにしてあげてください。
手術部位(皮膚を切った部分)を気にして、舐めたり、噛んだりするようであれば、エリザベスカラーと呼ばれるエリマキのようなものを首に付けましょう。
手術部位を舐めると、傷口が開いたり、細菌が感染したり、回復が遅延したりと良くないことばかりです。
「動物は、傷をなめて治す」と聞きますが、これについては、多少疑問が残ります。
術後の手術部位の回復をスムーズにするためには、猫が傷口をかんだりするなど、いじることがないようにすることが大事ということですね。
手術部位は1週間程度で落ち着いてくるので、それまで遠出をしたり、他に預けたりといった環境を変えることはしない方がよいでしょう。
何にせよ、術後、愛猫が落ち着いてきたら、いつも以上にたくさんの愛情を注いであげましょう。

【エリザベスカラーを嫌がる時の対策】
エリザベスカラー(エリマキ)を首つけると、猫にとって大きなストレスになります。
その場から動かなくなったり、パニックを起こして暴れまわったりすることがあります。
しかし、カラーを着けていると手術部位を舐めることができないので、傷口の治りがいいです。
そのため、動物病院の指示された期間はつけておくのが望ましいです。
嫌がって仕方がない場合には、飼い主さんがしっかり見ていられる時間や食餌の時間だけは外してあげて少しでもストレスを少なくしてあげるとよいでしょう。
傷口部分を保護するためのネコ服(術後服)などを利用するのもいいでしょう。

8.去勢手術にかかる費用っていくらくらい?

自由診療ですから動物病院によって様々ですが、麻酔料は含まず手術費用のみで15,000円程度と考えておくといいでしょう。
これに、麻酔料・術前検査料などが加算されます。

9.最後に言わせてください

健康な体に傷をつけ、人間が勝手に猫の生殖能力を奪うことに、心を痛める飼い主さんもいることでしょう。
ですが、無計画に生まれた子猫が捨てられたりする現実もあることを理解していただきたいです。
特に、猫は交尾するとかなりの確率で妊娠します(交尾排卵ですので、受精する確率が高い)。
動物保護施設や保健所に預けられた猫のなんと60%以上が殺処分されて、多くの猫たちが不幸な結末を迎えています。
これらの不幸な猫たちを減らすためには、人間が責任をもって「繁殖のコントロール」をしなければなりません。
自然な形で生かしてあげたいという人もいますが、ペットとして人間と一緒に暮らしている時点で自然ではないと考えられます。

元気なうちに去勢手術すれば、リスクも低くなります。
このように考えると、できるだけ早い段階での手術が最適だと考えられることができるでしょう。

健やかな生活を過ごさせてあげる一助になると、私は信じています。

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