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ひろせ動物病院コラム

歯周病の治療って、やったら終わり?歯科処置のその後について

前項では、全身麻酔下での歯周病治療についてご紹介しました。多くの方が再診で歯周病の完治を確認すると、「ここで一旦終了」を感じるのですが…大切なのはこの後です。麻酔をかけて治療しても、口の中には細菌がいて、歯の表面に新しい住処を作り始めます。細菌の新しい足場となる、歯の「ぬめり」を取ることがデンタルケアの目的です。

食事をして、歯垢が蓄積して、1週間程度で歯石になります。誤解されがちですが、歯石が歯周病をおこすわけではありません。歯周ポケットに歯周病菌が隠れやすいようにしてしまうこと、新しい歯垢が付着しやすくなること、が問題なのです。少し脱線しますが、手っ取り早く歯石だけとっても、歯茎の赤みや口臭が取れない原因は、ここにあります。「歯石しかとらないから」です。歯石の影にいる歯周病菌にアプローチしなければ、歯周病は完治しません。

話をもとに戻して、デンタルケアです。何のケアもしなければ、数か月後には再度、歯周病が指摘されるようになります。「ついこの間、麻酔をかけて治療したのに…」と、ご家族はストレスに感じられるかもしれません。歯科処置は治療であり、「1度受けさせてあげたから、飼い主としての責任を果たした」というわけでは無いのです。実際にはこの後、歯周病は進行し、翌年にはまた麻酔…といった悪循環です。
歯科処置を受けた直後こそ、デンタルケアをスタートするタイミングです。ここでは、デンタルケアの種類や方法をご紹介していきたいと思います。

歯ブラシが一番効果的!

歯ブラシを使った歯磨きが出来るなら、これが最も効果的です。歯ブラシは、ヘッドのサイズが小さく、毛足が柔らかいものをお勧めします。歯周病が完治していれば、日常用や予防用のものを使用してください。歯肉炎や歯周病があるとき、処置直後などは、少し毛がやわらかいものを使用してください。ストレスなく奥まで届く歯ブラシが、理想的です。
前述に細菌が作る「ぬめり」を取ることが、デンタルケアの目的と書きましたが、歯磨きは正にこの役割を的確に果たしてくれます。歯と歯茎の境目の汚れにアプローチできる優秀なツールです。ただし、いきなり突っ込んで成功するわけではないので、練習する必要があります。

 

*おすすめの歯ブラシは、ライオンさんの【VET‘S DOCTOR SPEC】デンタルブラシです。

「口を触れる」ようならこれ!

口の中に指を入れてケアできるようなら、歯ブラシに次ぐおすすめは、デンタルシートです。
指に巻き付けて歯の表面を滑らせるようにケアできるシートは、ぬめりを取るのに効果があります。ただし、口を触れることが前提なので、あくまでも無理して咬まれないようにしてください。

*おすすめのデンタルシートは、ライオンさんの【VET‘S DOCTOR SPEC】デンタルケアシートです。

楽しくケアする

次のお勧めは、噛んで遊ぶおもちゃ、歯磨きガム・デンタル用のフードなどです。噛ませてケアすることが目的なので、「歯が食い込むサイズと硬さ」を選んでください。蹄やアキレス腱など、長持ちするけれど「硬すぎる」ものは避けてください。歯が折れる原因になります。また、口の中に入れるものなので、食べきりのもの、簡単に洗濯できるものを選んでもらうと、衛生的です。これらのケアは簡単で楽しくできますが、噛むときにあまり使わない前歯などのケアが不十分になりがちです。

*おすすめのデンタルフードは、Hillsさんの【t/d(大粒・小粒・猫用)】、おすすめの歯磨きガムは、ビルバックさんの【ビルバックチュウ、ベジデントフレッシュ】です。

補助的に使える簡単なケア製品

デンタルリンス・歯磨きペースト・デンタルスプレーなど、嗜好性の良いものが増えています。基本的にはこれら単品ではなく、上記のケアに上手く組み合わせて使用することをお勧めします。単品での使用も出来ますが、擦るなどの摩擦が加わらないと、問題となるぬめりは取れないからです。
サプリメントなどの口腔内善玉菌を含む製品は、口の中に滞在する時間が長い方が効果的です。味を好んでくれるようなら、錠剤はつぶして粉末状で使用してみてください。口の中に塗る・水で溶いて舐めるなど出来るとより効果的です。また、食間などお口が忙しくない時間帯に使用してください。

*おすすめのケア製品は、PKBさんの【オーラティーンデンタルジャル】、ビルバックさんの【CET歯磨きペースト】、共立製薬さんの【デンタルバイオ】、メニワンさんの【ペロワン】です。

「頑張らない」歯磨きの練習

歯磨きの練習で一番大切なことは、最初から歯ブラシを持たないことです。順序立てて、口周りを触れるようになったあと、歯ブラシを好きになってから、歯磨きに移ります。

●口を触り、唇をめくって、歯を見ることができるようになる
1⃣オヤツを手に握り、食べている間に口周りを触ります。最初は手前から、1秒できたら2秒、3秒と伸ばしていきます。
手前が出来るようになったら、次第に奥側をめくるようにしてください。
このとき、食べるのを止める、頭を後ろに引いて嫌がるなどあれば、最初から仕切り直しです!絶対に無理やりやらない!押さえる、しつこくする、は厳禁です!
2⃣1に慣れたら、次はオヤツを後にします。オヤツを手に持って、見せながら「待って」をします。「見せて」で手前の唇を短時間めくり、上手くいったら褒めてオヤツをあげます。1と同じように時間を延ばし、手前から奥へ練習します。
嫌がったらオヤツを与えずに、もう一度簡単なステップからやり直します。(嫌がったときにオヤツをあげてしまうと、嫌がる仕草を褒めたことになってしまいます。ステップを簡単にして、成功してからオヤツをあげてください)


●歯ブラシを好きになる
歯ブラシを持つ手に、オヤツを握りしめておきます。歯ブラシを見せてから、握りしめている手を開いて、オヤツをあげます。歯ブラシを見たら、オヤツが出てくるという好印象を持ってもらうための工程です。唇をめくることができて、歯ブラシが登場しても、まだ歯は磨かないでください。一度嫌な印象がついてしまうと、それを挽回するためには、かなりの労力を要します!


●歯に歯ブラシを添える(短時間)
1⃣今までと同じように、オヤツを握り、歯ブラシをもって「待って」をします。「見せて」で手前の唇をめくり、歯ブラシを歯に添えます。絶対に押し当てたり、歯ブラシを動かして磨こうとしたりしないでください!ここは我慢です!上手くできたら、褒めてオヤツをあげます。
2⃣同様に、手前から奥へ進み、めくっては歯ブラシを添える、を繰り返します。嫌がったらオヤツを与えずに、一つ簡単なステップに戻ります。簡単なステップが出来てから、褒めてオヤツをあげてください。


●歯を磨く
歯ブラシの感触に慣れたら、歯ブラシを動かします。添えているときと同じ力具合で、2-3回動かします。歯を1本磨けたら、褒めてください。ちゃんと褒めていたら、毎回オヤツをあげなくてもいいですが、最初のうちはこまめにあげてください。1本歯が磨けたら、となりの歯へ。このステップで少しずつ奥歯へ進みます。


すべて磨けるようになるのに、2-3カ月かけても構いません。確実に、嫌にならないようにやりましょう。

参考資料:パピークラス&こねこ塾スタートBOOK、村田香織 著、インターズー(2019)

歯ブラシで磨くときは、擦ると痛いので、水で濡らしておいてください。楽しみのために歯磨きペーストを併用しても構いません。もし、ペーストが好きで舐めることに集中し過ぎるようなら、歯ブラシの上ではなく、オヤツとして褒めるときに与えてください。

最後に、デンタルケアはとても大切です。しかし、毎日同じように続けることは、とても大変なことです。デンタルケアにおいて最も必要なことは、続けるモチベーションだと思います。疲れた日やイベントの日、出来ない日があっても大丈夫です。そんな日は、デンタルガムなどを使用してお休みしましょう。


たまには病院へ来て、ケア製品を新調したり、別の味の歯磨きペーストを試したりして、モチベーションを維持していきましょう。病院スタッフも応援します!

  

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